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店の窓には、農林水産省の棚田百選に認定された「川登棚田群」の絶景が広がる。
　高千穂の標高８００㍍を超す高原で在来種のそばを自社で育て、収穫する。香り、味ともに好評で、全国のそば屋さんに卸している。２０１５（平成27）年には有機ＪＡＳ認証を取得。農薬を使用せず、自然の力で生産を続けている。
　店主の今村康薦さんは夜神楽の舞手でもある。「気温や土壌など様々な条件がそろうから、高千穂の農産物はおいしい。高千穂の農業は、夜神楽と同じように大事に受け継がれてきた。私たちはどちらも絶やさず守っていきたい」と話す。耕作放棄地を活用するなど、持続可能な社会づくりに積極的に取り組んでいる。
　自慢のそば粉をふんだんに使った「十割蕎麦」は一番人気。そば本来の香りを存分に楽しめる。やはり自社で育てたシイタケのザク切りを入れた「とろろ丼」も絶品。味わい深いコメが、すぐ目の前の棚田で収穫されたものだと聞くと、うれしくなる。
　今村さんの「食」に賭ける情熱は熱い。「ありがたいことに、多くのみなさんが遠方から訪れてくれる。絶対に妥協できない」。高千穂の自然と伝統を実感できる店だ。